あなたの名前は

標準

hydrogenosulfate って、手持ちの辞書にない…

「硫酸水素塩」hydrogen sulfate または hydrogensulfate のことだととらえて良さそうなのですが。

以前調べた、つなぎの「-o-」が入ってる感じかな?

 

つなぎの「-o-」は

  • 本来ギリシャ語合成語の連結辞であったが、今では広く科学用語その他に用いる(研究社大辞典)

ということでした。

 

hydrogen-o- となっているものを探してみたら、研究社『新英和大辞典 第6版』の hydrogenolysis の項には

〖⦅1931⦆ ՟ HYDROGEN+―O―+―LYSIS〗

という説明書きがありました。

 

さて、hydrogenの部分ですが、小学館『ランダムハウス英和大辞典(第2版)』によると、

  • hydro-の部分はギリシャ語 hỳdōr 水 から、
  • -genの部分は フランス語―gène、これはギリシャ語―genēs 「生まれた,産出された」からで、ラテン語 genus「親類(KIN)」と同じルート

とのこと。水素の名前はラボアジェがhydrogèneと名付けたとありました(ランダムハウスとウィキペディア)。

フランス人だからこれはフランス語ですね。最後にeがあるけど男性名詞です。

hydrogen自体はギリシャ語じゃなから、-o-はなくてもいいってことで、通常はhydrogensulfate なのでしょうか。

 

ウィキペディアのIUPAC命名法によると、

「塩の名称は塩を構成する陽イオンの名前をギリシア語数詞とともに置き、陰イオンをギリシア語数詞とともに置くことで得られる。日本語の場合は酸の場合は酸の名称の次に陽イオンの名前を置き、そうでない場合は(陰イオン名)化(陽イオン名)で命名できる。」

 

基本は hydrogen sulfate 、硫酸水素塩または水素化硫酸塩(あまり聞かないけど、重水素化硫酸塩というのはあるんですね)となるってことだと理解しました。
ただ、hydrogenosulfate でネット検索すると、いくつもヒットしますね。英語以外のサイトも多そう。とりあえずは、つなぎの -o- が使われたと理解しておくことにします。
命名法を追っかけてもしょうがないと思いつつ、調べついでに厚労省、経産省、環境省が出している新規化学物質の命名に関する書類が目についたので記録します。
塩、エステルの命名について。
 有機化合物 → 字訳、つまり英語のカタカナ表記
 無機化合物 → 翻訳
字訳、という言葉が使われるのは知りませんでした。

 

– o –

標準

顔文字ではないです。化学の「酸素は手が2つ」にも見えますが、違います。

英語辞典における見出しの一つでございます。

以前、英検1級取得を目指していた際、大きな壁となったのは語彙。

語彙対策本からではなく、日々の読み物から知識を得ようとして手に取った本の一つが、『トシ、1週間であなたの医療英単語を100倍にしなさい。できなければ解雇よ』という本でした。

ストーリーを楽しく読みながら、医療英単語を「語根」を元に学ぶ、という本です。

先日のベンゾ、ベンズ、を調べていた時、この本のことを思い出していたのです。様々な医療単語が出てくるのですが、

cardi-o-graphy (cardiography)

megal-o-cardia (megalocardia)

neur-o-blast (neuroblast)

など、-o- で繋がっている単語が出ていたなあと。この本では2つの語根を -o- でつなぐと書いてあっただけだったので、今回 o だけで辞書を引いてみたところ、幾つかの辞書で表記の見出しがあったというわけです。

  • ギリシャ語起源の複合語の第1要素につく連結母音(ランダムハウス大辞典)
  • 本来ギリシャ語合成語の連結辞であったが、今では広く科学用語その他に用いる(研究社大辞典)
  • used as the terminal vowel of combining forms: from Greek. The suffix -o- is often elided before a vowel, as in neuralgia. (ODE)

そうか、それで

speed-o-meter (speedometer)

bar-o-meter (barometer)

therm-o-meter (thermometer)

なども、-o-  で繋がっているのですね。

ちなみに、英検のほうは最終的には語彙対策本にお世話になり、なんとか筆記試験を突破いたしました。ただ、特許翻訳には英検1級の語彙は必要ないと思います。

ようやくすっきりしたので、勉強に戻ります〜。

化学名

標準

今朝の新聞にパナソニックの広告が大きく載っていて、微生物、ウィルス、化学物質名が列挙されていました。

化学名。カタカナが何文字も並んでますよね。これを見ると、どうしても怪獣とかが頭に浮かんでしまうんですよねえ。あとは方言とか。

でも、見ているうちに気になる化学名がありました。

ベンズ(a)アントラセン

ベンゾ(b)フルオランテン

ベンズとベンゾ、何が違うんでしょうか。

ベンズは benz-、ベンゾは benzo-、どちらも「ベンゼン環を含む化合物」を表すのですね。リーダーズ+プラスにも出ていました。

ということは、この部分にはアリルとアリールのような意味の差はないと考えて良さそうですね。

英語だと、

benz[a]anthoranthen

benzo[b]fluoranthene

後ろに続く文字が母音だと o が邪魔だということかもしれません。

benzo[a]anthoranthen

というのも別名として出ていました。

これらの命名法については、実はもっと奥が深いようです。

IUPAC命名について書かれたnomenclatorのサイトの縮合命名法とヘテロ環式成分のページでは、benzo-について

  • IUPAC 1979 および CAS では、母音で始まる基礎成分名の前でoを落とす。
  • IUPAC 1998 では、この母音脱落が起こらない。

ただし、二環式ベンゾへテロ環(つまりベンゼン環にもう一つ別の単環がくっついている)の成分名では、母音が脱落する。(benzimidazoleなど)。

ただし、benzimidazoleは日本語では「ベンズ」ではなく「ベンゾイミダゾール」と書く。

 

但し書きがあるのがややこしい。命名法はどんどん変化もしているのですね。今は優先IUPAC命(PIN)一般IUPAC名(GIN)というのもあるということです。

ただ、J-PlatPatで「ベンズイミダゾール」「ベンゾイミダゾール」を検索したら、どちらも含む明細書もありました。英語では benzimidazole と benzoimidazole の表記でした。訳し分けた、ということですね。

え? てことは、最初の benzanthoranthen ですけど、「ベンズアントラセン」って、「ベンゾアントラセン」の方がいいってこと?

環境庁の「保健・化学物質対策」のページで検索。どちらもヒット。手持ちの「化学英語の活用事典」では「ベンゾアントラセン」。特許検索したいけどちょっと今は限界。
それよりベンゾアントラセン、芋虫に見えてしょうがない…

200px-benzanthracene200px-benzanthracene-3d-balls

どちらもwikipediaより ここではベンズアントラセンの表記

 

ちなみに、「フルオランテン」の部分は「フルオロ」と似てる?と思いましたが、これは別物。

「フルオランテン」は多環芳香族化合物。

フルオランテンwikipediaより

お、これは昔ながらのサッカーボールの五角形と六角形の組み合わせの一部じゃないですか。ベンゾがつくと、これにもう一つベンゼン環がくっつくのですね。

200px-benzoefluoranthenewikipediaより

これがもっともっとくっつくと、フラーレンになるんですね。

思わぬところでナノ構造体への繋がりが見えてしまった…